大きい地形から一部の地形を取り出す方法は?
前回の等高線から地形を作成する②は、大きい地形から目的エリアを取り出す方法として、矩形選択ツールを使いましたが、今回は、他の取り出し方を紹介します。せっかく作った複雑な地形も、取り出し方によっては、全く使えない場合もありますので、注意が必要です。なお、前回同様、水色枠が最終的に取り出したい地形範囲とします。
■いきなり「斧」は、危険・・・
切り出す、といえば、手っ取り早く「斧」(分割ツール)で、バッサリいきたいところですが、複雑な地形の場合は、いきなり斧で切り取ると、結構とんでもないことになってしまいます。
いきなり斧で切ると切断面は大変なことに!外周部の地形が崩壊しています。
■複雑な地形(メッシュ)の取り出し方のコツ
矩形選択ツールを含め、3通りの方法を紹介します。
【方法①】矩形選択ツール
表示したい地形範囲を、矩形選択ツールで囲って、3D表示します。
外周部の輪郭はきれいに保たれ、崩壊も、変形もしていません。
【方法②】ソリッド編集
- メッシュ周辺の不要部分がすべて含まれるように、メッシュやスラブなどでオぺレーターをつくります。
- ソリッド編集で、地形メッシュをターゲットにして、①のオペレーターで減算します。
外周部の輪郭はきれいに保たれ、崩壊も、変形もしていません。
【方法③】尾根線を設定した後に、「斧」で切断
まず、切り取り枠上に、以下の手順で尾根線を設定します。
- 線ツールで切り取り枠を書きます。(ここでは水色枠のことです)
- 切り取り枠の線を4本とも選択した状態で、メッシュツールを選択し、地形メッシュをシフトクリックします。
注:③でマジックワンドを使う際、最初に切り取り枠の線を選択しておくと、他の線が切り取り枠と交差していても、切り取り枠の線上に優先的に尾根線が描かれます。
②で切り取り枠を先に選択しておくのは、そのためです。 - マジックワンドで、水色枠をクリックし、一気に尾根線を追加します。
この時、新規メッシュポイントダイアログボックスで、「全ての尾根に適合」を選択するのがポイントです。(「ユーザーの尾根に適合」を選ぶと、切り口の起伏形状が維持されません。)
最後に、設定した尾根線上(水色枠上)を、斧で切り取ります。
今度は斧で切っても大丈夫!
外周部の輪郭はきれいに保たれ、崩壊も、変形もしていません。
■それぞれの切り出し方の長所短所
断面形状については、3つの方法とも綺麗に切り出すことができました。また、地形側面の材質設定の違いもわかりました。その他の点も比較してみましょう。
- 矩形選択ツールの場合
・囲むだけで3D画像をすぐに見られる。○
・設定が残らないので、画像化する度に同じところを毎回囲み直す必要がある。△
・一覧表では、囲った部分だけの数量は算出されない。× - ソリッド編集の場合
・一度ソリッド編集しておけば、何度でも同じ範囲の3D画像が得られる。○
・オペレーターを移動させるだけで、切り出し枠を簡単に変えられる。○
(動かせる幅を見込んで、オペレーターの巾を厚めに作っておくと便利)
・一覧表では、項目により確認が必要。△
(体積については、減算した部分を含まない数量が出る。○)
(外周については、全体の長さが出る。×) - 尾根線+斧の場合
・表示と実体が一致するので、余計な調整が不要。◎
・一度切り取ってしまうと、後から表示範囲を調整することはできない。△
・一覧表では、オブジェクト単体として明確に算出される。◎
といったところです。それぞれの特徴を生かして、目的に合ったやり方を選択してみてください。